難病もいろいろ

病気になってわかったこと、感じたことを伝えます

ハイスペックな脳の硬膜パッチワーク

ラトケ嚢胞が見つかったのは8年前。

下垂体機能が低下して色々なホルモンが不足するわ

自覚症状はなかったものの、視野障害があることもわかり

手術は避けられない状態だった。

 

手術は、開頭手術か内視鏡手術の二択です。

現在は鼻からの内視鏡手術が一般的だけど、

根治を目指し、開頭手術も選択肢には、ある。

主治医は内視鏡手術派だったし、いきなり開頭手術なんて

選択肢は、8年前のわたしには無かった。

 

脳は硬膜やくも膜に包まれていますが、ラトケ嚢胞はその膜や下垂体に

くっついちゃっているから、ラトケ嚢胞の袋をまるっと

取り出すことはできないのです。重ねてはったサランラップみたいな感じの膜とラトケ嚢胞の袋のイメージ。きれいに剥がすのは

至難の業。ガリガリ剥がそうとして、硬膜だけでなく、くも膜を

ぐちゃぐちゃにしたり、血管や神経、下垂体を傷つけたりしないように、

それでもできるだけ大きく、袋の一部を切り取るのが目標。

 

ラトケ嚢胞に穴をあけるだけでは、袋が再生してしまい

また同じ症状が現れてしまうこともある。わたしの場合

嚢胞に穴をあける程度しか袋を切り取らなかった1回目の手術のあと

しばらくしたらまた、その穴がふさがって液体がたまってしまった。

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2回目の手術の話は置いておいて、直近の3回目の手術では

嚢胞の上部も開窓し、周辺の髄液が交通する状態にして、再発を阻止することに。

最後に鼻の奥の硬膜を閉じて、髄液が鼻のほうに漏れてこないように

処置したらしい。

 

わたしの硬膜は過去の手術の影響で硬くなっているため、びろーんと引き寄せて

縫い合わすことができないので、太ももから切り出した筋膜で

パッチワークのようにして穴をふさぎ、さらに鼻の軟骨を

硬膜と筋膜の間に滑り込ませるという高等技。

このハイスペックな三層の膜がしっかり定着して、鼻の粘膜も再生してくれれば

鼻から脳への感染症の心配がなくなるわけです。

 

流動的な髄液のおかげで、ラトケ嚢胞が再び液体を

貯蔵する袋に戻らないことを祈るばかりであ~る。

 

ちなみに、ラトケ嚢胞の再発を繰り返す人は少なからずいて

どんな治療法がベストか脳外科医も試行錯誤のようです。

中には、抗がん剤を嚢胞に注入するなんてやり方をしている

医師もいるそうな。日本じゃないかもだけど。わたしに

セカンドオピニオンをくれた脳外科医は、

嚢胞の袋がつぶれているうちに放射線を照射することを

提案してくれました。