難病もいろいろ

病気になってわかったこと、感じたことを伝えます

患者に嬉しいコラボレーション

どんな分野においても、コラボレーションによる成功は、SNSで話題になるような、何か特筆すべきものがある。

 

わたしの手術も、多くの人に知ってほしいコラボレーションによる成功事例だと思う。

 

内視鏡下経鼻下垂体手術は読んで字のごとく、鼻の穴から内視鏡を入れて、下垂体にアプローチする手術のことです。

鼻の奥は脳につながっていて、鼻と脳の境目には鼻粘膜や薄い骨なんかがある。下垂体まで内視鏡を通すには、それらを取っ払って、トンネルを掘るような作業を伴います。

 

脳の手術なわけだから、脳神経外科医が執刀するのだけど、わたしが入院した病院では、そのトンネル工事は耳鼻咽喉科医が担当してくれる。

 

この利点は、鼻の病気、例えば蓄膿症などの手術を数多くこなしているスペシャリストのほうが、専門知識を生かし、手術により鼻の機能を低下させないことを前提に、巧みに施術してくれることにある。

 

実際、鼻の術後まで考慮しない脳外科医が鼻から脳に内視鏡を通して

匂いを嗅ぐ鼻の大事な機能をダメにしたり、再手術が必要に

なったとき、鼻のトンネルを再構築するのが非常に困難な

状態にしてしまっていたりすることもあるようだ。

 

脳外科医のプライドや、脳の手術に駆り出される

耳鼻科医の疎ましく感じる気持ちや、異なる診療科のスケジュール調整の煩わしさも想像するに容易い。

 

しかし、内視鏡下経鼻下垂体手術は、耳鼻科と脳外科のコラボで

いくのが、患者に最も利益があるという方針の病院は存在する。

日本で、鼻からの内視鏡により行う脳の手術総数の約2割が、

このコラボレーションだそうです。