難病もいろいろ

病気になってわかったこと、感じたことを伝えます

手術なんてなんでもないや

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朝8時。病室から手術室へ向かう。

歩いて。

そう、歩いて。

あの、ストレッチャーとかに乗せられて、だだだだだって

運び込まれるシーンとは全然違って、なんかフツ~。

 

点滴スタンドを左手に、コロコロ転がしながら

手術室まで付き添う病棟看護師さんと二人、

裏エレベータ(と命名)に乗り込む。

 

手術前の患者さんの緊張をほぐしてあげようという雰囲気が

伝わってくるけれど、わたし、3回目ですから。

緊張は、していないのです。今回はコロナのこともあるし

術前に家族とちょっと会える時間も無しにしちゃったので

ご家族、冷たいですねって思われたかもな。

単にドライな患者なんです。

 

手術室入口の重そうな自動ドアが開くと目の前には

左右10室ずつもあろうか、さらに手術室の扉が並んでる。

なんだか、宇宙ステーションみたい。

一室の前で、ちょこんと椅子に座って入室を待たされる。

 

手術室では5~6名のスタッフが忙しなく準備していて

やがて、手術室看護師(オペ看)がやってきた。

名前と生年月日と血液型を確認。ちゃんとRhプラスAって言えた。

よし!しっかりしてるじゃん、わたし。

今日はどこを手術しますか?

え? ラトケ?いや下垂体?具体的には経鼻で内視鏡で。

いろんな言葉が頭の中にあふれてきたけど、この専門集団を前に

人差し指で眉間を指さして、「ここ。」

そうですね、脳ですね。

ははは、脳って言えばよかったのか。ちょっと恥ずかしい。

それにしても、オペ看と病棟看護師の雰囲気、全然違う。

わたしが看護師なら、オペ看タイプだな。このテキパキ

無駄を許さない感が、性にあいそう。

 

オペ室に入ると、ひんやりした空気に変わる。室温低めなんだ。

ステンレスの冷たい感じと淡いグリーンのような色合いの空間の

中央に、手術台が少し高い位置にある。

 

ここに自分で上がって寝ころぶのだけど、

足がぶらぶらする、バーカウンターの座面が高い椅子に座るときの

ちょっと怖い感じに似てる。でも、車の座席にお尻を滑り込ませ両足をすっと車内にしまい込むみたいに、格好よく行きたい。なのに、手術衣がペラッとまくれて

ボクサータイプ紙パンツ丸見え。すかさずオペ看さんが裾を直してくれた。

ありがと~。あれれ、弾性着圧ストッキングの履く向き、間違えてるわ。

メディキュットみたく履いちまったのを、ぐるりと半周まわしてくれた。

お手数おかけします。

 

褥瘡防止のクッションのようなものを腰につけたけど

手術のようにピクリとも体を動かせないと、褥瘡のリスクが

あるのね。弾力性のあるゼリーっぽい感触。悪くないねぇ。

 

麻酔科医やオペ看さんらがわたしの体に装着するいろいろな物の

説明を聞いているうちに、酸素マスクをつけたあたりからフェードアウト。

 

目が覚めると、主治医と家族がいて、無事終わったよ~ってニコニコしてた。

え?さっき手術台にねそべったばかりなのに?

いやいや、もう6時間以上病院内で時間つぶしてたから、と娘。

そうかそうか、みんなありがとう。長時間お疲れさまでした。

ICUで一晩過ごしてから、病室に戻るよ。

手術なんて、なんでもないや。

 

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